「訳あり物件」とはどういったところか
心霊系のうわさ話を扱うサイトなどを見てみると、必ずといって良いほど登場してくるのが「訳あり物件」という言葉です。
「訳あり物件」とはその建物の中で過去に何らかの事故や事件などがあったもののことをいい、不動産業者の間での名称として「心理的瑕疵物件」と言われることもあります。
「心理的瑕疵物件」とは簡単に言えば建物そのものの機能ではなく、そこに新たに人が入って営業や居住をするときになんとなく嫌な感じになる要素があるという意味で瑕疵があるという物件のことをいいます。
具体的には過去のその物件の内部で「自殺や他殺など人が亡くなる事故があった」「孤独死などにより長期間遺体が放置されていた」といった人の死にからむ物件のことです。
他にも火事やその他の居住中の事故のために人が亡くなったといった場合や、近隣に嫌悪物件(墓場や古戦場など)があるといったものも含まれます。
また上記で説明した「訳あり物件」とはやや異なりますが、同じように告知義務があるもののお得に家を借りられる借地権があります。借地権では、他人の土地を借りてその上に建つ建物を所有している状況となり、土地代を土地主に支払うことになります。
そのため普通に土地を購入するよりも安く住むことが出来るので、都心や立地が良い場所に住む際には活用できます。
しかし借地権は土地主と建物の所有者でのトラブルが起きやすいことから、人によってはなかなか手を出したくないと思っていることも少なからずあります。
そのため借地権を売買することになった場合、なるべく土地主とトラブルにならないようにするか借地権の売買・売却を専門に行う業者(例えば、株式会社マーキュリーなど)に頼むなどして手放す必要があるのです。
そうした事項はだからといってすぐに建物としての機能が損なわれるものではないのですが、やはり中にいる人にとっては気分のよいものではありませんから、あらかじめ何らかの説明を受けることが仲介業者には義務付けられています。
なぜ告知が義務付けられるのか
「訳あり物件」は上記の理由により必ずその物件の過去について契約者に説明をする義務が定められています。
これは契約をする人が入居後にその事実を知ることにより「そのことがわかっていたら契約をしなかった」という損害賠償を伴うトラブルに発展する可能性があるためです。
ですのでもし契約前に告知を受けた人が契約をしてから何らかの心理的なトラブルを感じるようなことになっても納得をして契約をしているわけなのでそのことを理由に何らかの賠償を管理業者に求めることはできません。
こうした訳あり物件はやはり普通の物件と比べて買い手や借り手がつきにくくなりますから、相場よりも2割程度安く販売をされるということが多くなっています。
中には周辺相場と比較して半額以下になっているという物件もあるくらいなので、たかが「気持ちの問題」とだけして片付けることができる問題ではないと言えます。
ただしこの告知義務にもちょっとした落とし穴があって、告知をしなければいけないのは事件や事故など原因になることが発生してから次に入る人に対してだけとなっています。
つまり一度でも誰かがその物件に入ったあとには、仮に大きな事件や事故があった物件でも告知なしで別の人に紹介をすることができてしまうということです。
しかしながらやはりそうした噂というものは簡単に消えず、ましてインターネットがある現在では物件の情報はすぐに手に入りますから、入居前にはしっかりと物件について検索をしておいた方がよいかもしれません。
実際のところ住んでみたらどうなのか?
とはいえこの不景気の世の中では、訳あり物件(借地権を除く)とわかっていつつも家賃の安さにひかれて契約をするという人もいるのが事実です。
自分が住んでいるところで誰かが亡くなったと思うのは気分的によくないものですが、それ以外に何かマイナスになるようなことは果たして起こるのでしょうか?
実際に入ってみた人の噂話を聞いてみると、やはり中には何らかの不思議な現象を感じたという人も多くいるようです。
そのものずばりといった経験はなくても、小さな物音や気配があるとなんとなく怖いものを想像してしまうので居心地が悪いといったことはほとんど全ての訳あり物件にあります。
また偶然とは言えないような不思議な現象もそうした物件では起こるケースがあるようです。
例えば部屋の中の一部になぜかカビがびっしり生えるようになったということや、どんなに修理をしてもいついも水漏れをしたり突然シャワーが出たりするといったことです。
いずれにしても訳あり物件に長く住むことができる人はごくわずかと思った方がよいでしょう。