住まいのオーナーチェンジのトラブル

近年増加しているオーナーチェンジのトラブル

不動産投資が一般向けに開放されるようになり各不動産会社も一般オーナーを募集するようになったことで、それまで全く不動産業界に詳しくなかった人が突然に物件のオーナーになるという事例が増えてきました。

これから初めて不動産投資を行いたいと思う人にとっては、新たに物件を新築したりリフォームしたりするよりも既に賃貸物件として運営されている物件を買い取った方がずっと楽です。

しかしそうしたオーナーチェンジ物件というのは何かとトラブルが起こりやすく、入居者にとって当初に契約していたはずの内容と全く異なる住居条件になってしまうということもよくあります。

一般的にこれから賃貸物件に入居しようとする人は、事前にオーナーからの審査を受けることになります。
つまりオーナーが変わるということは審査基準となる人の価値観が大きく変わるということなので、その審査から外れた人が不利益な取扱を受けてしまうことがあります。

実際にあったトラブル事例としては、オーナーが変わった途端に「家賃を大幅に上げられた」「突然退去を命じられた」「保証人を変えるように言われた」「規約を勝手に変えられた」といったことがあります。

オーナーが変わってもその契約内容は引き継がれます

まず最も深刻なオーナーチェンジによる立ち退き要求について考えていきます。
なんとなく「その建物の持ち主はオーナーなのだから、自分が住ませたい人を住ませて何が悪いんだろう」というふうに思ってしまいがちですがそうではありません。

というのももともとそこに入居している人は従前の賃貸契約に納得をして入居していますので、あとからオーナーが変更になったからといって急に条件の変更をのまなければいけないわけではないからです。

賃貸契約の場合、人の住む場所という非常に重要な契約を行うことになりますので、通常の動産売買とは異なる手厚い規定によって守られています。

つまり賃貸契約はオーナーが変わっても当然に内容が引き継がれることとなっており、それを変更する場合には賃借人と賃貸人双方が納得をしなければいけないのです。
もし借主が納得しない場合には、契約は法定更新となり一時的に従前の契約内容をもとに継続していくことになります。

新たにオーナーとなることを考えている人も、自分がオーナーになればすぐに素行の悪い入居者を一掃して、賃料をガンガン上げて収益を上げて行けるというふうには考えてはいけません。

不動産契約は全て契約者双方の信頼関係に基づくものです。
全く不動産に関わって来なかった人にとってはそうした独特の法規制や業界の常識は理解しがたいところかもしれませんが、それをきちんと理解していくことが長期的な不動産運営つながります。